当院の特徴

治療の3本柱

1. 「通院と教育プログラムへの参加」

アルコール依存症は、長い経過の中で進行する病気ですので、治療にも長い時間を要します。長年の飲酒により、身体面・精神面だけでなく、日常生活や人間関係にも、多くの障害が起きています。このような生活問題を抱えたまま、ひとりでお酒をやめ続けていくことは、非常に困難です。当院では、内科・精神科の両面から病気の治療を行うとともに、様々な生活問題に対処していくために、定期的な通院と病気を正しく理解するための教育プログラムへの参加を勧めています。

2. 「抗酒剤」(注:医師の処方が必要です)

抗酒剤とは、アルコールを分解する酵素の働きを抑える作用がある薬です。これを服用してお酒を飲むと、ひどい二日酔いの様な症状が出ます。「飲みたい」という欲求が起こった時に、抗酒剤を服用していることが、欲求にブレーキをかけることの一助になります。また、抗酒剤を飲むという行為自体が、今日一日「お酒をやめよう」という気持ちを確認する作業にもなります。特に通院当初の不安定な時期には「転ばぬ先の杖」としての服用を勧めています。

3. 「自助グループへの参加」

アルコール依存症からの回復は、断酒する事だけではなく、生き方の変化や自分自身の成長をも意味します。自助グループのミーティングや例会で体験談に耳を傾け、また、語ることによって、これまでの生き方を振り返り、自分自身を見つめることができます。体験談を語ることは、過去の出来事に対する懺悔ではなく、自分自身を許し、癒していく作業です。そして、人の体験談を聴き、共感することで、おのずとお酒をやめていく仲間を作ることができます。自助グループには、新たな人生を歩んでおられる方が多くいます。

外来治療について

アルコール依存症の治療と言えば、かつては入院治療が主流でしたが、大阪では約30年前より「治療の3本柱」を軸とした外来治療が発展してきました。当院でも、外来治療のメリットを活かした医療を実践しています。

外来治療のメリット

などが特徴として、あげられます。

医療費・生活・家族問題などの相談

通院をされる皆様にはそれぞれ担当のソーシャルワーカーがいます。
通院中に生じる医療費・生活・家族調整などについて、ソーシャルワーカーが相談にのらせていただきます。何か困ったことがありましたら、些細なことでも、一人で悩まず、お気軽に声をかけてください。

院長紹介

小谷陣大阪市立大学医学部附属病院北側にて、小谷クリニックを開設させていただきました。本来の専門は、消化器内科(肝胆膵)なのですが、現在、アルコール性肝障害やアルコール依存症などアルコール関連問題専門クリニックとして診療を行っております。

私は、大阪市立大学医学部を卒業後、第三内科に入局し、大学病院勤務を経て、生野区や難波や西成区(社会医療センター)などの病院勤務において、多くのアルコール問題のある患者さんと関わってまいりました。さらには、アルコール依存症の大家であった故小杉好弘先生に教えを乞う機会にも恵まれ、小杉クリニック本院の院長を辞するまでの間、大阪のアルコール専門医療というものをより深く学ぶことができました。

それらの経験から、アルコール問題は精神科+内科の両面から同時に治療を行うことが不可欠と考え、内服や点滴注射などによる治療に加え、経験豊富な専門スタッフによる教育プログラム・ミーティングなどを併せて提供させていただいております。

また、アルコール依存症に対する偏見は根強く、治療導入の妨げになっている場合が多々あります。このため、一般の方々にも正確な知識・認識を持っていただくことが大切と考え、クリニック内にKCアルコール医療福祉センターを開設し、家族教室や、福祉・行政関係向けの講座などを開くことにより、日々、アルコール依存症の専門治療に取り組んでおります。

院長 小谷陣

院長略歴

1998年 大阪市立大学医学部卒業
1999年 大阪市立大学医学部 第3内科入局
2003年 小杉記念病院 勤務
2004年 大阪社会医療センター附属病院 勤務
2006年 大阪市立大学病院 肝胆膵内科 勤務
2007年 小杉記念病院 勤務
2011年 小杉クリニック本院 院長就任
2012年 小谷クリニック開院